脂漏性湿疹脂漏性湿疹

脂漏性湿疹

■脂漏性湿疹とは

赤ちゃんの頭皮や顔に多く発生する湿疹の一つです。

生後1ヶ月~3ヶ月頃に多く見られる湿疹で、頭皮や顔など皮脂の分泌が多い部分に発生しやすいことが特徴です。具体的には、頭皮や眉毛、おでこ、耳の後ろ、首の後ろなどに、黄色いかさぶたやフケのようなものができたり、赤みがかったりします。

基本的にかゆみは強くないことが多いですが、ひどく掻きむしってしまうと、傷口から細菌が入り炎症が悪化して二次感染を起こす可能性があります。

 

■脂漏性湿疹の症状

・頭皮

黄色い、油っぽいフケやかさぶたができる。

・顔(眉毛、おでこ、鼻の周り、耳の後ろなど)

赤み、小さなブツブツ、皮脂によるベタつきが出る。

 

炎症が強い場合はかゆみを感じたり、皮膚がジュクジュクしたりすることがあります。

軽症の場合はほとんど目立たない場合もありますが、重症化すると赤みが強く広範囲に広がったり皮膚がただれたりすることもあります。

 

■原因

新生児期から乳幼児期にかけてはお母さんから受け継いだホルモンの影響で、皮脂の分泌が過剰になります。過剰に分泌された皮脂が、毛穴を詰まらせたり、かび(真菌)の一種であるマラセチア菌を増殖させたりすることが原因です。

マラセチア菌は皮膚に常在する真菌で、誰もが持っている菌のため、脂漏性湿疹を起こすことがあります。赤ちゃんの体温や汗などで蒸れて高温多湿になって発生する腕やひざの裏、おむつの内側などの湿疹とは原因が異なることも特徴です。

 

■脂漏性湿疹の治療

脂漏性湿疹は、黄色いかさぶたの状態や赤みなどの状態によって治療法は異なります。

 

・軽症の場合

赤みやかゆみが少なく、皮膚のジュクジュクした様子が無いなど、軽症の場合には基本的に清潔にすること保湿が大切です。

沐浴やお風呂に入るときには、頭皮はベビーシャンプーで優しく洗い、洗い残しが無いように注意しましょう。黄色いかさぶたは自然に取れていくので、強くこする、無理に剝がすなどしないでください。皮膚の奥がむき出しになり、出血や炎症を起こす可能性があります。

保湿する場合にはワセリンやベビーオイルなど、刺激の少ない保湿剤で保湿します。

 

・中等症、重症の場合

赤みがひどい、ジュクジュクしているなど症状が強い場合にも基本的には清潔にすることと保湿が大切ですが、炎症を抑えるためにステロイド剤を塗って治療していきます。ステロイドと聞くと、強い薬で皮膚が薄くなる、肌に色素が沈着して黒くなるなどの噂を聞いて心配になる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、期間を決めて適切に使用すれば、副作用も少なく治療していくことができます。当院では保湿剤とステロイドの塗り方の相談も行っておりますので、ご心配な方はお気軽にご相談ください。

また、炎症がひどいには過剰に増えた真菌の繁殖を抑えるために、抗真菌剤入りのシャンプーや軟膏を使って治療していくことや、細菌に二次感染している場合には、抗生物質を併用することもあります。

 

■脂漏性湿疹の対策

脂漏性湿疹を起こさないようにするには、コツコツと健康な肌の状態を日ごろから維持することが大切です。

 

対策のポイント

・汗を放置せず清潔にする

汗をかいたらガーゼでやさしく、ポンポンと軽く抑えるようにふき取り、放置しない。

・お風呂で肌をきれいにする

赤ちゃんの目に泡が入らないように気を付けながら、泡を使って手のひらで優しくなでるようにおでこや頭を洗ってあげましょう。お風呂から上がったら、保湿も忘れずにしましょう。

・しっかり保湿する

乾燥すると皮脂の分泌量が増えやすくなります。保湿剤のタイプにもよりますが、乳液やクリームの場合には、塗った後の肌にティッシュ1枚が引っ付く程度に塗りましょう。

・爪を短く切る

かゆみがあり掻きむしってしまうと細菌感染を起こしてしまいます。掻きむしり予防のために爪を短く切りましょう。

 

最初にもお伝えしましたが、脂漏性湿疹は赤ちゃんに起こりやすい湿疹の一つです。適切にケアしていくことで、軽快していくことも多いため、ちょっとした事の積み重ねです。湿疹の状態がわからない、ケアの仕方がわからないなどあれば、お気軽にご相談ください。