RSウイルス感染症
■RSウイルス感染症とは
RSウイルスは、呼吸器感染症を引き起こすウイルスのひとつで、ほとんどのお子さんが2歳までに感染するとても一般的なウイルスです。例年秋から冬にかけて流行しますが、最近では夏にも流行することがあります。感染力が非常に強く、保育園や幼稚園など集団生活の場では特に感染が広がりやすい傾向にあります。
■RSウイルス感染症の主な症状
・鼻水
・咳
・発熱(微熱程度のことが多い)
軽症の場合は風邪に似た症状ですが、気管支炎を発症する場合もあります。その場合は「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という呼吸音がしたり、呼吸困難になったりするためお子さんの様子をよく観察しておきましょう。さらに重症化すると入院が必要になることもあります。
次のような症状が見られる場合は、すぐに小児科を受診してください。
・呼吸が苦しそう
・呼吸をすると胸がペコペコとへこむ
・鼻の穴を広げて呼吸をする
・唇が青紫色になる
・ぐったりしている
■RSウイルスの原因
RSウイルスは、感染者の咳やくしゃみなどに含まれるウイルスを吸い込んだり、ウイルスが付着した物に触れた手で、口や鼻を触ったりすることによって感染します。
感染力が非常に強く、家庭内や保育園、幼稚園などで感染が広がりやすいのが特徴です。
また、一度感染すれば二度と感染しないというわけではなく、何回も感染するため注意が必要です。
■重症化リスク
RSウイルスは、2歳までにほとんどのお子さんが1回は感染するウイルスで、1歳を越えていれば重症化するリスクは少なくなり、2歳以上になると軽い鼻風邪で終わることがほとんどです。保育園や幼稚園でRSウイルスが流行していても、それほど心配することはありません。
一方で、1歳未満(特に生後6ヶ月未満)のお子さんや、低出生体重児で小さく生まれたお子さん、心臓や肺の基礎疾患があるお子さんは重症化リスクが高いため注意が必要です。
■RSウイルス感染症の検査方法
RSウイルス感染症は検査でウイルスが特定できても治療方法が大きく変わるわけではありません。そのため、RSウイルスが疑われる場合も基本的に検査の必要はありません。
幼稚園や保育園で検査をしてくるよう求められる場合もありますが、厚生労働省が定める「保育所における感染症対策ガイドライン」では、RSウイルスは「医師の診断を受け保護者が登園届を記入することが考えられる感染症」に定められています。また、学校保健法でも出席停止対象の疾患ではなく、医師のサインは必要ないものの、医師が登園可能と判断したということを保護者が登園許可証などの書類に書くのが望ましいということです。書類の提出等は園によって異なりますので、お通いの園にご確認ください。
■RSウイルス感染症の治療
RSウイルス感染症には、残念ながら特効薬はありません。
解熱剤や咳止め、気管支拡張剤など、症状を和らげるための対症療法が中心となります。
鼻水が詰まっていると呼吸が苦しくなるため、こまめに鼻水を吸引することも効果的です。
症状は1週間ほどで治まっていきます。
RSウイルス感染症はお子さんにとって身近な感染症ですが、感染力が高く何回も感染するため、日頃の予防が大切です。手洗い、うがい、マスクの着用など基本的な感染予防を心掛けましょう。
鼻風邪程度で済むこともあるRSウイルスですが、重症化すると入院が必要になる場合もあります。呼吸が苦しそう、「ゼーゼー」「ヒューヒュー」と音がするなど、少しでも気になる症状や普段と違う様子があれば、すぐにご相談ください。