こどもの病気・症状 名古屋市西区のきとう小児科医院こどもの病気・症状 名古屋市西区のきとう小児科医院

アレルギー性鼻炎の舌下免疫療法

■舌下免疫療法って?

アレルギーの原因となっている物質(アレルゲン)を毎日少しずつ服用して、体をアレルゲンに慣らしていくアレルギーの治療方法が舌下免疫療法です。アレルギー反応が見られる方の中でも、スギ花粉とダニにアレルギー症状のある方への治療ができます。

アレルギーと言っても、原因となっている物質は様々あり、卵や乳製品などの食品や、昆虫、イネ科やブタクサ、ヨモギなどの植物の花粉などが原因になっていることがあります。日本人の2人に1人が花粉症とも言われており、低年齢の子どもでも罹患していることのある身近な病気です。

毎年2月~4月頃に鼻がムズムズする、鼻水やくしゃみが止まらない、鼻づまりがひどい、眼がかゆいなどの症状がスギ花粉症の特徴です。また、ダニアレルギーの場合は年間を通じて鼻水やくしゃみ、鼻づまりの症状が見られ、ほこりっぽい所に行くと症状が現れやすい特徴があります。いずれかの特徴が当てはまる場合、スギ花粉やダニに対するアレルギー症状の可能性がありますが、しっかりと検査をしてアレルギー反応があることを確認することから舌下免疫療法の治療は始まります。

 

■舌下免疫療法の良いところ

健康な方の場合、アレルゲンが鼻の中や目などの粘膜に付着したり体内に侵入しても、アレルギー症状は現れません。しかしアレルギー症状のある方の場合、アレルゲンを取り込むと、アレルゲンに対して「これは体に良くない!」と体に備わった免疫機能が過剰に反応して、鼻水やくしゃみなどの症状として現れます。舌下免疫療法は、少しずつアレルゲンを服用することで、体を慣らしていき過剰な反応を少しずつ解消していきます。

抗アレルギー薬と呼ばれる、鼻水や鼻づまりなどのアレルギー症状を抑えるお薬とは異なり、アレルギー症状が起きないような体を作っていく治療のため根治が期待できることが舌下免疫療法の良いところです。

アレルギー反応がなくなることで、

「お薬(抗アレルギー薬)が減らせる」

「飲む薬が減って、副作用の眠気が減った」

「勉強に集中できる」

などのQOL(生活の質)の向上が期待できます。

 

■舌下免疫療法の注意

舌下免疫療法は、アレルギーの根治が期待できるという点でメリットが感じられますが、治療を開始する前には注意が必要です。

それは、

1)3年~5年以上と長期間薬を服用する

2)スギ花粉またはダニに対してアレルギー反応がある

3)5歳以上の方が対象

ということです。

 

1)3年~5年以上と長期間薬を服用する

舌下免疫療法は、身体をアレルゲンに“徐々に”慣れさせていく治療です。

風邪など外から入ってきたウイルスや細菌が原因の病気とは異なり、体にもともと備わっている免疫機能を変えていく治療なので、時間がかかります。

ですので、毎日服用を続けること勝手に服用をやめないこと、をお約束できる方のみ、舌下免疫療法をすすめています。

 

2)スギ花粉またはダニに対してアレルギー反応がある

現在、舌下免疫療法はスギ花粉症か、ダニアレルギー性鼻炎の方のお薬しかありません(2020年1月31日時点)。どのアレルゲンにアレルギー反応があるかは、症状の聞き取りだけでなく採血を行って検査をして調べます。治療を受ける前に、アレルギーの検査を行っていただく必要があります。当院でも検査を行っておりますので、お気軽にご相談ください。検査結果が出るまでに1週間かかります。

 

3)5歳以上の方が対象

舌下免疫療法で服用するお薬は、口に入れてから舌の裏で数分間そのまま保持して頂く必要があります。薬を保持しておくことが難しい方は、治療ができません。そのため当院では、5歳以上の方を対象に治療を行っています。

 

 

長期間にわたり服用が必要ですので、月に1回(初月は2回)はご来院いただき様子をお伺いした上でお薬を処方いたします。

舌下免疫療法はアレルゲンを体内に取り込むため、稀にアナフィラキシーショックなど重篤な副作用を起こすことがあります。治療上の詳細な注意については、診察時にご説明いたしますので、気になることはご質問ください。

ドクターからのメッセージ

舌下免疫療法は長期間継続して初めて効果がでてくる根気のいる治療ですが、根治が期待できる治療方法です。毎日服用を続けるのは大変ですが、歯を磨いた後など一日の中で服用するルーティンを決めたり、ご家族の方がアレルギー性鼻炎の場合、一緒に治療したりすることで継続しやすくなります。周りの方の支援も大切ですので、ぜひご協力ください。