溶連菌感染症
■溶連菌感染症とは
溶連菌(溶血性連鎖球菌)という細菌に感染することによって、発症します。
溶連菌は、A群、B群、C群、G群など複数の種類がありますが、その中でもA群β溶血性連鎖球菌が感染する割合が最も高く、溶連菌感染症の約90%と言われております。
感染経路は、感染者のくしゃみなどによる飛沫感染と、食器やタオルなどを介して感染する接触感染があり、例年11月~4月が流行する時期になります。
■溶連菌感染症の症状
2~5日の潜伏期間の後、38℃以上の発熱や喉の痛み、頭痛や嘔吐などいわゆる風邪の症状に加えて、苺舌と呼ばれる舌に小さな発疹ができる症状が見られることもあります。
ただし、咳や鼻水などの症状はあまりないことが特徴です。
特に11月~2月は、インフルエンザや新型コロナウイルス等の流行が重なり判断が難しい時期になりますので、受診する際は自覚症状をきちんと医師にお話しください。
■溶連菌感染症の主な合併症
代表的なものにリウマチ熱と急性糸球体腎炎があります。
また小さなお子様は中耳炎や肺炎などを引き起こすこともあります。
<リウマチ熱>
溶連菌感染症後に起こる関節痛、発熱、発疹、などがみられる病気です。溶連菌そのものではなく、免疫の過剰反応の結果症状を起こすと考えられております。
近年は抗菌薬が発達したため、発生数は激減しております。
<急性糸球体腎炎>
リウマチ熱同様に、溶連菌感染症後の免疫によるものが原因とされておりますが、抗菌薬でも発生する場合があり、完全に予防することは出来ません。
そのため、溶連菌感染症と診断された場合は、症状がなくなった後に尿検査を必ず受け、急性糸球体腎炎が起きていないか検査をしましょう。
■溶連菌感染症の検査方法
溶連菌感染症の検査方法には、溶連菌迅速診断キットを使用します。綿棒でのどの菌を採取して検体を取ります。検査の精度が約80%となっておりますが、検査結果が約5分でわかるというメリットがあります。
溶連菌も潜伏期間がありますのでその間に検査を受けても陰性になる可能性があります。確実な検査結果を得るためには、発熱したり、のどの強い痛みなど溶連菌感染症の初期症状と思われるものが出てから検査を受ける方が良いでしょう。
■溶連菌感染症の治療
溶連菌は細菌ですので、抗菌薬と解熱鎮痛剤などを処方します。
発熱などの症状は抗菌薬を使用後2~3日以内に治まることが多いです。
ただし、熱が下がったり他の症状がなくなっても菌が生きていたらリウマチ熱や急性糸球腎炎などの合併症を引き起こす可能性もあるので、5日~10日程度医師の指示に従ってしっかり薬を飲むようにしましょう。
■感染対策
溶連菌はまだワクチンが開発されておりません。誰でも感染する可能性があり、感染力が強いため、感染がわかったらマスクをして飛沫を防ぐとともに、手洗い・うがいを徹底しましょう。
また、十分な睡眠とバランスの良い食事により免疫力を高めることが予防になります。
会社や学校は感染がわかったら休みましょう。
抗菌薬を飲んで24時間以上経過すると感染力はなくなると言われております。
熱が下がったり、他の症状もなければ出社することは可能ですが、職場や学校で規定がある場合は規定に従ってください。
溶連菌感染症に感染した後に予防接種を受けると溶連菌感染症を悪化させたり、予防接種の副作用を増大させてしまう可能性がありますので注意が必要です。
溶連菌感染症に感染した後に予防接種を受けるには解熱後2~3週間は空ける必要があります。予防接種のご予定があるお子様がいらっしゃる方はお気軽にご相談ください